NICには気をつけろ

Esportsをテーマとした深夜ラジオ番組にて─

 

MC「続きまして、ラジオネームMr.CheeseRifleさんからのお便りです。」

 

名前は出さない。が、よく聞けよ、俺は一時期アメリカで最もゲームが強かった男だ。

アメリカのEsportsシーンを熱狂させた。

強力なスポンサーがいくつも付いたし収入もバカみたいな額だったよ。我ながらいい人生を送って来たと、あぁ…思ってしまう程にはね。

そうさ、俺はゲームに生まれ、ゲームに生き、ゲームと共に終わる。

そんな生き様に憧れてたんだ、あのクランを見つけるまでは…な。

 

今から話すのは俺が現役バリバリで活躍してた10年前くらいの話だ。あの頃は輝いてた。俺も俺が見る世界もな。

そのクランは今のビデオゲームって呼ばれてる物が生まれた地、ニッポンに確かに存在していたんだ。

初めて見た時は…何と言えばいいかな、ただただ恐怖しか感じなかった。

たかだか1クランに恐怖を感じる?バカバカしいか?そうだろうな。だがこれはマジな話なんだ。

とりあえず、ヤバいんだよ。何もかも。ゲームの腕前も内情も色々と。

そのクランのクラマスが言ってた『メンバーで一番弱い奴』と極秘で対戦するチャンスが与えられたんだ。今思うとあれはメチャクチャ光栄な事だったんだろうな。

結果が聞きたいか?…いや、いいんだ。この話をした奴は皆こぞって結果が気になると言う。その度に俺は屈辱を味わうんだがな。

俺ともあろうプレイヤーが一切相手に攻撃を当てられなかった。というか、そもそも相手が見えなかった。

同じゲームをしているとは思えないんだよ。悔しいけど。

新種のキャラコンなのか知らないが照準どころか画面の中にすら収められない。そんな早い動きで翻弄された。俺が今までやってた事はお遊びだったんだ…って、思っちまった。どうかしてるんだあいつら!勝てっこない!

俺はとびきりの負けず嫌いだったがな、あいつらだけは諦めるしか無かったと思う程圧倒された。

 

あぁそうそう。もう書き直すのも面倒だからここで忘れてたクラン名を書くが『NIC』って名前だった。どうだ?聞いた事あるか?

日本で有名だったのはCR?だったと思う。だがそいつらも俺みたいなアメリカのマジで強い奴らには叶わないくらいのレベルだった。

ニッポン人はゲーム作りは上手いがゲームはヘタクソだって思ってたんだ……あぁ話を戻そう。腕前の話ばかりしてても埒があかないからな。それ程あいつらのゲームセンスは言語化に時間がかかる。

 

さっきこのクランは腕前だけじゃなく『内情』もヤベェって言ったよな?

そもそもこのクランに所属してる奴らは全員ガキなんだ。大体中学生くらいのな。

精神も倫理観もまだ幼い。こいつらが喋ってるチャットは酷いもんだったぜ。まるで…YouTubeコメント欄くらい。

だから俺は一層ムカついたんだ。こんなガキにボコボコにされた事実を、飲み込めなかった。

なんだっけ、キングダム…ホーモ?とかいう意味わかんねぇ小説を書いてるイタい奴とか、自分をマゾヒストだと公言してる頭がグチャグチャに損壊してるみたいな思考回路の奴とかそういうニッポンインターネットの闇が詰まった奴らの巣窟だった。

そのくせゲームだけは上手いんだ。ムカつく、ムカつくぜ全く。

 

まぁとにかく俺は全世界のゲーマーに、NICには気をつけろって知らせたかったんだ。

もしこのメールが採用されたなら、長ったらしい文章を読んでくれたラジオMCに心からの感謝を贈るぜ。

 

MC「いやぁ…NIC、か。そのクラン僕知ってるかもね。もしMr.CheeseRifleがまだ聞いてたら後でもう一回メールして欲しいんだけど…そのクランの一員はクリプトを使ってた?ボイスラインで脱糞してたかい?因みに僕の本名は『デアゴスティーニアキハバラ』だよ。日本人の。」