超大型ホスト、襲来(没)

出来が悪いから期待するな!

 

進撃の巨人”が完結して早くも一年が経とうとしていた頃である。

 

新宿のど真ん中にある日本最大級のホストクラブで売上No.1を誇る一人のホストが居た。

容姿端麗、周りからの信頼も厚い。

日本で最も素晴らしい人間は?とアンケートを取れば上位に食い込むのではないかと思える程の良く出来た人間だった。

 

しかし上手い話には必ず裏があるというもの。

彼がそんなにも持て囃された理由は、とある薬物を使用していたからである。世界でも合法化されている地域は皆無の劇薬を、持ち前の財力で継続的に摂取し続けていたのだ、

そのドラックの効能によって周囲に男女問わず人を惹きつけるフェロモンを撒き散らし、更に度重なる重労働に耐えるべく強制的に脳を覚醒させ、多量のアルコールや疲労に耐える生活。

強い中毒症状に襲われ、薬物の辛さを薬物でしか解消できなくなっていたその時であった。

いつも頼りにしていた闇商人が、その薬を切らしていると言うのだ。

中毒症状が限界を迎えていた彼は「なんでもいいから薬物をよこせ」と言う。

それを聞いた商人は「似たような効能の薬がありますよ」と答える。

多少値は張ったが、彼の財力をもってすれば痛くも痒くもない出費だったであろう。

いつものように路地裏で手首に薬物を摂取する。

いつもの光景、いつもの幻覚。

 

ピカーン!ゴロゴロゴロ!

 

辺りが黄色く光った、と思った瞬間から、彼に意識は無い。

 

例の薬を売っていた商人はこう思っていた。

『あんなに貴重な薬を毎回買われたらやってられない。どうせ薬物漬けの体だ。変な薬をやって早く死んでもらおう。そうだ…この前ゴミ捨て場で拾ったこの怪しい中身入りの注射器、後で中身を調べようと思っていたがあいつに打たせよう。どうせロクなものは入っていないはず───』

 

光と共に稲妻が落ち、その瞬間新宿は壊滅した。

スーツを見に纏い、派手な色に染まった髪が生えた60m級の巨人が、今東京都庁の隣に立っている。

彼“だったもの”は都庁の周りを踏み荒らし、ますます被害を拡大させていく。

政府は直ちに国家非常事態宣言を発令、彼に自衛隊での正当防衛を行うとし、全国の基地から戦闘機がスクランブル発進した。

 

「ドン゛ベリ゛ハイ゛リ゛マ゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

そう彼が叫んだ瞬間、何もなかった空間から自身の全長程もある酒瓶が形成された。

すると彼はまた理性を失い、形成した版を移動しながら振り回す。

当然当たらないはずも無く、都庁は瞬く間に地面に崩れ落ちた。

この瞬間、日本の首都の本丸が陥落。

自衛隊が新宿に到着した頃には、既に日本存亡の危機に陥っていた。

 

自衛隊が一斉に彼へ攻撃を開始する。

うめき声を上げ、必死に瓶を振り回して抵抗する彼だが、空を飛ばれてはどうしようもない。

痛みを耐え、朦朧とした思考回路の中でたどり着いた彼の結論は、日本を更に混乱へと誘うあまりにも酷いものだった。

今まで瓶を模した近接武器だと思われていた例の瓶の蓋を徐に開ける彼。

突如、滝のような勢いで液体が噴き出てくる。

先程まであれだけ振り回せば、中身が炭酸飲料であればこうなるのは必然だったであろう。

しかし一番の問題は別にあった。

それはこの液体が全てアルコール飲料だという点だ。

己自身の超高熱な体温で引火した大量の酒は、噴き出た勢いのまま東京全域に火の雨を齎した。

当然先程まで猛威を奮っていた自衛隊の戦闘機も、まるでファンタジーような火の塊があらゆる方向から襲いかかってくる彼の猛反撃にはなす術もない。

 

戦略を消耗し、最早勝機無しと悟った政府は日本列島の放棄を発表。

この世には立体機動装置も、始祖の力も存在しないのだ。

放棄とは言いつつ、まともな脱出手段を持たない一般市民を救済する気は微塵も無い政治家は独自のプライベートジェット等で単独脱出していく。

残された日本国民は、ただただ自分達の地域に彼が来ないよう祈る他無いのだ。

 

商人は怯えていた。

自分の摂取させた薬がこのような事態を招いたという事実から、商人は精神が崩壊しかけていた。

そこで商人は、心を落ち着ける為に所持していた薬物の一つを手首に打ち込んだ。

…それが何の薬かを確認する事を忘れて。

 

再び走る稲妻。

 

 

あまりに荒れ果て、あまり詳細な記録は残されていないが後の衛星写真によって日本列島が海に沈没している事が確認されている。

APEXでそれっぽい物を使うと必ず領域展開してしまう体になった

それは、とあるカスタムでの出来事だった。

 

「1人割った!詰めてドーム焚くよ!」

僕がそう言うと、チームメンバーは相手ににじり寄る。

相手チームは安置に飲まれ、ヒートシールドの中で回復している状況だ。そんな中僕らに襲撃されたものだから、恐らく僕らの勝ちは約束されているだろう。

まずは向かっている途中で1人、僕がボルトSMGでノックダウン。

回復を終えたであろう相手チームの1人がこちらを攻撃してきたが、ボルトの弾はリロードをしなければならなかった為もう一丁のピースキーパーでドームファイトを仕掛ける。

異変が起きたのはその時だ。

僕がドーム内に入り、1発ピースキーパーを発射した次の瞬間。

銃弾は吸い込まれるように全て相手の頭に命中したのだ。

僕は違和感を覚えた。しかし、安置外で視界も悪く、たまたま自分のエイムが冴えていたというだけかもしれない。

そう思い、最初は気にしなかった。

 

最終安置。僕は他の生き残った多数のパーティと同じように、後出しドームをするべく耐久し続けていた。

さあいよいよとなり、空爆とドームを展開する。

たまらずドーム範囲外にいた敵チームは僕のドームの内側に入ってくる。

迎え撃とうとピースキーパーを発射。

全弾頭に命中した。しかも、物理的にあり得ない広範囲の敵に。

ドーム内にいた敵は全員一瞬でダウン、または激ロー。結果は決定的になった。

 

カスタムの配信は大荒れ。明らかにチートを使用した挙動を取った僕は釈明の余地も無しに界隈から追い出されてしまった。

 

 

“領域展開”という術をご存知だろうか。

効果は様々だが、平たく言えばその領域展開が使用されている領域内での攻撃は絶対に対象に命中するというもの。

つまり、敵がどんなにストレイフ等で回避行動を取っていようとも相手がドーム内にいれば絶対に全弾頭に命中し、なす術もなくダウンするという訳だ。

その領域展開が、いつの間にか僕に宿ってしまっていた。

僕がドームを出す時は、僕がチートを使う時だ。

 

あれから僕はTwitterYouTubeのアカウントを消して、APEXも辞めた。

あのカスタムに参加していた人達、というよりはAPEXをプレイしている人に申し訳ないと思う気持ちが強かった。

世間ではチーターへの反感が強まる一方で、僕なんかが隅っこにもいれる隙間は無い。

 

 

数年が経った。世間は、京都から起こった革命勢力の解放区“共産主義国家カンサイ”と真っ向から追突する、日本史上最大の内紛を前にしていた。

僕は東京住まいなので、正規の日本人として関東勢力に徴兵された。

この戦いで関東が勝利出来なければ日本は共産主義に生まれ変わり、京都に首都圏が敷かれる事になるだろう。

 

開戦直前、僕はこんな噂を耳にした。

「これは日本が共産主義に生まれ変わる為の出来レースであり、元から関東に勝ち目は無い」

その噂は、戦場で真実へと変わる。

一目見るだけでも関西と関東の戦力差が開きすぎているのだ。少なくとも関東の10倍以上の人員を革命軍は揃えてきている。

ここで戦い続けては必ず関東は負け、兵士は皆死ぬ。

僕は少なくとも東京以外にある首都などを現代で見たくは無い。何故なら、東京都民は東京という土地に選民意識を持っているからだ。

僕は今の東京が好きだ。

 

日本のど真ん中、岐阜のとある平野にて、僕は普段使いしていたYouTubeアカウントで配信を始めた。

そしてそのスマホを拡声器に近づけ、最大音量で戦場へ向ける。

これでこの平野は僕の領域になった訳だ。

無骨に置かれた拡声器の前で、僕はナイフを一振りする。

革命軍全員の脳にナイフが突き刺さり、この内紛は突然の終わりを迎えた。

 

僕は、革命軍を数百万人殺した。

このまま東京に帰れば普段通りの生活が送れるのかもしれないが、それをするには罪悪感があまりにも強すぎる。

罪を償う都民は僕だけで十分だ。

 

僕の手に握られた100万キルのスーパーレジェンドは、不思議に自然と僕の首元を切り裂いた。

生暖かい液体が滴るのを感じる。

目は既に焦点が定まらず、立つ事すらままならない。

 

…ダウンした、救援を。

人権剥奪ランク・違法賭博編

新総裁に選ばれた高市総理の手によりアニメやゲーム等のオタク文化が全面的に日本から淘汰されつつある中、ここぞとばかりに野党が打ち出した法案はこの国のゲーマーを闇へと引き摺り込む邪悪なものだった。

その法案の内容は『ゲームの腕前に応じて人間としての価値が下がる』というもの。

野党はマイナンバー制度を悪用し日本人のゲームセンスを一方的に収集し続けていたのだ。

ゲーム文化を廃れさせたい高市総理の思惑と見事合致し、この法案は即刻可決される事となった。

 

それからというもの、各ゲーム界隈は荒れに荒れた。

その中でも特に顕著だったのは、日本で圧倒的な流行を見せていたAPEXである。

このゲームでは実力がゲーム内で区切られており、上位の者にはより正確な経済的制裁が加えられた。

正確に言えば、ブロンズⅣより上のランクに上がっていく度に国が課す全ての税金が50%ずつ上昇する。

更に過去にマスター・プレデター経験がある者に対しては、全ての事象において基本的人権を無視すると発表された。

こうしてストリーマーやプロゲーマーと呼ばれる人間達は、一気に人間の底辺へ転げ落ちていく事になる。

 

少し経った頃。

超高額の税金を納めきれなくなったプロゲーマー達は家を「差し押さえ」という名目で取り壊され、路地裏や公園を点々としていた。

謂わゆるホームレスと化した元プロは何とか定住出来る公園等を見つけて現状の打破は成功していたように見えたが、この法案が可決される前から住所不定だったホームレス達は『自分達より価値が下の人間が出来た』という昂りから隠れ家を荒らしまわり、その住居からプロを強制的に追い出すのだった。

 

そしてこの突貫工事とも言える法案の致命的欠陥が、徐々に徐々に明らかになってくる事になる。

というのも、この法案はランクによって規制度合いが強くなっていく事から以前『カジュアル専』と呼ばれていた万年ブロンズ判定のプレイヤーが突然その地位を確立していったのだ。

友人に誘われて一度だけプレイした等の理由で規制を喰らうというような不慮の事故を防ぐ為に、ブロンズは未プレイの人間と同様に規制は一切加えられなかった。

このカジュアル専は、規制こそ掛かっていないが万年シルバーのゲームセンス皆無なプレイヤーより腕前が上という事は明白だった。

 

一気に人間としての頂点に押し出されたカジュアル専達は、この機会を逃すまいとある計画を実行に移す。

その計画とは、以前プロゲーミングチーム・Crazy Raccoonの事務所があった廃墟にてプロを利用した裏カジノの営業を開始するというもの。

ここに既に収容されていたプロやストリーマーは、不安には思いながらも定住できる収容部屋と食事が提供されるという安心感からすこし安堵していた。

しかし人権が剥奪されたプロ達にとって、このカジノはそう甘くは無い。

 

裏カジノ開場当日。会場には既に存在を知ったカジュアル専が列を成しており、大盛況と言っても差し支え無いだろう。

そんな中、遂に賭場が開かれる。舞台は射撃訓練場での1on1だ。

司会「記念すべき第一回戦の試合は…これだ!」

両選手の名前が開示され、スタジアムに対戦する2人が上がる。

モニターでこの勝負でベットされた賭け率や賭け金の合計がリアルタイムで加算されていく。

司会「それでは早速スタート!と言いたい所だが…今からやる対戦はプレデター対マスターだ!そんな実力差で公平な勝負が出来ると思うか?思わないよなぁ!?」

熱狂しているカジュアル専達は、プレデター側にハンデを背負わせろと怒号を飛ばす。

司会「そこでだ!各選手が使用する武器とレジェンドを我々で決めさせて貰った!」

このハンデこそが、この裏カジノの真髄である。

司会「プレデターって言うのは最上位勢の事だろぅ?じゃあどんな装備でも勝てるよなぁ!」

会場は司会の煽りによって一層盛り上がる。

司会「じゃあプレデターの方はワットソンを使え!武器は…P2020一丁だ!フルカスタム!どうだ?フルカスタムだぞ?良かったじゃねぇか!なぁ!」

困惑するプレデター。会場に目を向けると、自分を見て気持ち悪いくらいにニヤニヤと嘲笑うカジュアル専達の顔が見えた。

司会「そしてマスターは301フルカスタムだ!使用キャラはホライゾン!あぁあと言い忘れてたが、この試合は戦術アビリティの使用が許可されてるからな!」

プレデター側は全てを察した。この勝負は自分を陥れる為だけに開かれた催しなのだ。

 

結果は当然、プレデターの敗北だった。

司会「あぁーっと!どうしたんだプレデター!本来マスターより強いハズなんだがこんな僅かなハンデで下ってしまったー!こりゃあもしかして代行だったかぁ!?ハーッハッハッ!」

対戦したマスターはこちらに視線すら向けず、控室へ戻っていった。

司会「あーあ!折角お前に賭けてくれた人が怒ってるぞ?こりゃあお仕置きが必要だなぁ!」

司会がそう言うと、自分に賭けて怒っているらしい巨漢が近づいて来た。

司会「今回の『お仕置き』は…そうだな、じゃあEVA-8を訓練場の一番遠い的に全弾命中させるまで終わらないってのはどうだ!」

盛り上がりは最高潮に達した。観客はこれを目的で見に来た、というのがこちらにも容易に分かる程の熱狂である。

司会「8回失敗したらリロードごとにそこの巨漢がプレデターを殴り付けるぞ!一定時間撃たなかったりしても同じだ!でもこんなお仕置きすぐ終わるよなぁ?だって『プレデター』なんだから!」

 

当然達成できる訳も無く、過去のプレデターは観客に爆笑されながら気絶するまで顔面を殴られ続けた。

 

こうして広まった元プロ・ストリーマーを痛ぶる行為は警察の黙認を後押しに、完全な娯楽としての地位を確立した。

一定の間隔で廃墟から放り出される変死体は、周囲の住人から気味悪がられたという。

キングダムホーモの真実

Tニキ参戦!(ドン!)

スマブラ最後のダウンロードコンテンツとして大々的に発表されたTニキというファイター。

しかしこの参戦は、ファンから冷ややかな目で捉えられる事になる。

「いや、Tニキって誰だよ?」

「何のゲームのキャラ?」

「期待はずれどころの騒ぎじゃ無いんだけど…」

世界中で批判の声が続出し、アーカイブの低評価数が高評価数を上回った頃。

櫻井政博から新しいツイートが投稿された。

「なんと、キングダムホーモからTニキが参戦です!」

ここでようやくファンはキングダムハーツとの関連を示唆される事になる。

 

困惑するファン達は、キングダムホーモという単語がどういう意味を持つのか調べて尽くした。

すると、あるブログがヒットする。

「キングダムホーモ 1-0…?」

そこに在ったのは、このブログを書いた『Tニキ』という存在、そしてその人物像だった。

淫夢厨、猛虎弁、自作小説という痛々しさ。

これだけを見れば、Twitterではよくいるホモガキの1人に過ぎない。

しかし、争点はそこには無かった。

「『Tニキ』のTwitterリンクが貼られてたぞ!」と意気揚々にリンクをクリックするファンの1人は、衝撃的な光景を目にする。

『このアカウントは存在しません』

Twitterは、元あったアカウントが凍結や垢消しされた場合、『アカウントが凍結されています』だったり『問題が発生しました』という表示が出るもの。

つまり、このTニキのアカウントは元から存在しなかった事になっているのだ。

ではこのブログを書いた人物は誰か?

Tニキという存在は何を意味しているのか?

答えは出ぬまま、つかいかた発表の翌日を迎えた。

 

そんな中、またしてもファンの1人が『キングダムホーモ』について書かれたページを発見。

ルート・レイク。極々ありふれた弱小チャットの一つだ。

発見者はそのリンクをクリック。すると…

目の前が真っ暗になった。

意識がだんだんと薄れてゆく。

…気がついた時には、もう発見者はこの世に存在しなかった。

正確には、彼が座っていた部屋から彼の姿だけがポッカリと消えていた。まるで元々存在していなかったように。

しかしインターネットで繋がったファン達は、その事に気がつく事は出来なかった。

次々とルート・レイクにアクセスするスマブラファン。

その先には何があるのか。

 

「…………?」

「ここは…?」

先程まで暗かった視界は、突然痛いほどの強い光を捉えていた。

目を細めながら周りの状況を確認する。

「…人?息は…あるか。」

目覚めたファンの周りには、目覚める前の自分と同じように沢山の人が浮遊している事に気づく。

「目覚めたのは俺だけなのか…?」

 

このファンは、ゲームオタクだ。それも生粋の。だからこそ気がつく事が出来た。

「というかここって…ゼロポイント?そういえばここに入る前のチャットの名前もルートレイクだった…今俺がいるのはゼロポイントの中なのか…?」

真実に近づくファンをよそに、また視界は暗くなっていく。

「ま…待って…俺は…」

 

気がつくと、ファン達は先程と変わらない部屋で先程と変わらない位置に座っていた。

モブ「そうだ…寝てる場合じゃ無いな。Tニキの正体を確認しないと。」

そう言いTwitterを開くと、目に飛び込んで来たのは一つのトレンドだった。

モブ「ソラ参戦だって…?どういう事だ!」

その理由は、彼だけが知っていた。

「ゼロポイントでTニキが参戦した世界線から…正しい世界に戻ってきたって事なのか?」

 

スマブラファン達は、スマブラという巨大なコンテンツが生み出す時空の歪みに巻き込まれた。そしてTニキが参戦するパラレルワールドで生きる人という認識を無自覚のうちに刷り込まれていたのだ。

 

ゼロポイントを通じて誰もが納得する世界へ帰還する事が出来たスマブラファン。

そして『桜井』政博から、新たなツイートが更新された。

「長い間本当にお世話になりました!これにてスマブラSPは完結です!」

 

変わらずこの世界ではキングダムホーモが朗読されるし、まは記事をしっかり読んでいない。

それでもTニキ参戦という最悪の結末からファンを守ってくれたソラ参戦という救済によって、あの忌まわしい世界線はルート・レイクのゼロポイントで永遠に封印されていく事になる。

NICには気をつけろ

Esportsをテーマとした深夜ラジオ番組にて─

 

MC「続きまして、ラジオネームMr.CheeseRifleさんからのお便りです。」

 

名前は出さない。が、よく聞けよ、俺は一時期アメリカで最もゲームが強かった男だ。

アメリカのEsportsシーンを熱狂させた。

強力なスポンサーがいくつも付いたし収入もバカみたいな額だったよ。我ながらいい人生を送って来たと、あぁ…思ってしまう程にはね。

そうさ、俺はゲームに生まれ、ゲームに生き、ゲームと共に終わる。

そんな生き様に憧れてたんだ、あのクランを見つけるまでは…な。

 

今から話すのは俺が現役バリバリで活躍してた10年前くらいの話だ。あの頃は輝いてた。俺も俺が見る世界もな。

そのクランは今のビデオゲームって呼ばれてる物が生まれた地、ニッポンに確かに存在していたんだ。

初めて見た時は…何と言えばいいかな、ただただ恐怖しか感じなかった。

たかだか1クランに恐怖を感じる?バカバカしいか?そうだろうな。だがこれはマジな話なんだ。

とりあえず、ヤバいんだよ。何もかも。ゲームの腕前も内情も色々と。

そのクランのクラマスが言ってた『メンバーで一番弱い奴』と極秘で対戦するチャンスが与えられたんだ。今思うとあれはメチャクチャ光栄な事だったんだろうな。

結果が聞きたいか?…いや、いいんだ。この話をした奴は皆こぞって結果が気になると言う。その度に俺は屈辱を味わうんだがな。

俺ともあろうプレイヤーが一切相手に攻撃を当てられなかった。というか、そもそも相手が見えなかった。

同じゲームをしているとは思えないんだよ。悔しいけど。

新種のキャラコンなのか知らないが照準どころか画面の中にすら収められない。そんな早い動きで翻弄された。俺が今までやってた事はお遊びだったんだ…って、思っちまった。どうかしてるんだあいつら!勝てっこない!

俺はとびきりの負けず嫌いだったがな、あいつらだけは諦めるしか無かったと思う程圧倒された。

 

あぁそうそう。もう書き直すのも面倒だからここで忘れてたクラン名を書くが『NIC』って名前だった。どうだ?聞いた事あるか?

日本で有名だったのはCR?だったと思う。だがそいつらも俺みたいなアメリカのマジで強い奴らには叶わないくらいのレベルだった。

ニッポン人はゲーム作りは上手いがゲームはヘタクソだって思ってたんだ……あぁ話を戻そう。腕前の話ばかりしてても埒があかないからな。それ程あいつらのゲームセンスは言語化に時間がかかる。

 

さっきこのクランは腕前だけじゃなく『内情』もヤベェって言ったよな?

そもそもこのクランに所属してる奴らは全員ガキなんだ。大体中学生くらいのな。

精神も倫理観もまだ幼い。こいつらが喋ってるチャットは酷いもんだったぜ。まるで…YouTubeコメント欄くらい。

だから俺は一層ムカついたんだ。こんなガキにボコボコにされた事実を、飲み込めなかった。

なんだっけ、キングダム…ホーモ?とかいう意味わかんねぇ小説を書いてるイタい奴とか、自分をマゾヒストだと公言してる頭がグチャグチャに損壊してるみたいな思考回路の奴とかそういうニッポンインターネットの闇が詰まった奴らの巣窟だった。

そのくせゲームだけは上手いんだ。ムカつく、ムカつくぜ全く。

 

まぁとにかく俺は全世界のゲーマーに、NICには気をつけろって知らせたかったんだ。

もしこのメールが採用されたなら、長ったらしい文章を読んでくれたラジオMCに心からの感謝を贈るぜ。

 

MC「いやぁ…NIC、か。そのクラン僕知ってるかもね。もしMr.CheeseRifleがまだ聞いてたら後でもう一回メールして欲しいんだけど…そのクランの一員はクリプトを使ってた?ボイスラインで脱糞してたかい?因みに僕の本名は『デアゴスティーニアキハバラ』だよ。日本人の。」

CRカップに出たい!👆

早速本題に参ります。

僕は、CRカップに出たい!

何故出たいか?その理由は?教えて!

そんな物は無くても構わないのです。

例えば睡眠欲。これは頭がなんとなーく、朦朧としてなんだか気持ち悪いからそれを解消する為に、眠りにつくんです。身体的には脳を休めるだとか最もらしい理由は沢山あるのだとは思いますが、人間が自分の感覚で思考を巡らす事ができるのはこの辺りが限度。

そしてその理屈が通用するならば何故CRカップに出たいか、それも簡単に解ることでしょう。

CRカップに出なければ、心や頭がムズムズして気持ち悪い!という強い気持ちがあるから、無意識のうちにCRカップに出たい!という欲望が生まれてくるのです。

人間は睡眠欲、食欲、性欲の他に、CRカップに出たい欲、というものも持ち合わせている、と考えれば自然でしょう。

出たい理由など不要なのです。

 

こうしてCRカップに出る理由を説明付ける事は出来ましたが、そもそもどうやってCRカップに出るの?という問題が残っていますね。

今までの出場者リストを見ると、登録者が多いストリーマーや活躍しているプロゲーマー等が重点的に参加しています。

ですが全くの配信初心者である僕がそのレベルに行き着く事は容易ではありません。

なので僕はストリーマー枠では無い、言うなれば一般人枠として出場しようと思うのです。

一般人枠、と言ってもただの一般人では到底参加出来ません。

しかし、別の分野の著名人ならば話は別というもの。

例えば速水もこみちが『えぺまつり』に参加したように、僕が芸能界で活躍し、更にAPEXをプレイしている事を公式SNS等で明かし、更に自身のゲームYouTubeチャンネル等を開設し、更にそこで行う雑談でCRカップの話題を出せば、ほぼ確実に出場が約束される事でしょう。

 

しかし更なる問題があります。

それは今16歳の僕が俳優や芸人になってキャリアを積んで有名になるまでCRおじじは存命しているか。

まず間違いなく、今後フォートナイトから撤退した恨みでepic今井に惨殺されるでしょう。

つまりおじじが今井に殺されるまで、というのが出世のタイムリミットです。

そうなると事態は一刻を争う。なので僕は、子役として有名俳優事務所のオーディションを受ける事にしました。

オーディションでは号泣する演技を要求されましたが、時速50キロメートルで地面を這いずり回り面接官を恐怖に陥れたのが功を奏したのか、演技下手をごまかせました。

 

こうして無事に俳優事務所に入ることが出来た訳ですが、これからどんどん名前を売らなければ無名俳優のままでCRカップに出る事は出来ません。

そんな中、僕に手を差し伸べてくれた大物俳優がいたんです!

それは、阿部寛さん。長身でイケメンなあの阿部寛です。

阿部寛さんはこれまで撃破した相手から会得した奥義を教えてくれました。

その名も関暁夫アタック!かっこいいでしょう?

「この力を使って今目立って活躍している俳優陣を全員消してこい。」と言われた時には、ようやく本格的な俳優業に勤しめるチャンスだ!と意気込んでいました。

 

この頃、既に裏ではepic今井がCRおじじの居場所を突き止める事に躍起になっていました。

僕はそれに気づく事が出来なかった。

CRおじじは自分が狙われている事を察したのか、あまり目立った動きはしなくなったようですが、やはり見つかってしまうのは時間の問題だったのです。

そして僕がその事に気がついたのは、今井が完全に住居を突き止めておじじの家に突撃している最中の事でした。

今井は自身のTwitterに意味深な投稿をしていたんです。最初はビル街の夜景を撮ってTwitterに上げているのだと思っていました。

でも、それがツイート更新される度に住宅街の方は入って行き、何か怪しいと思い調べた結果判明した事です。

今井がこのツイートをしなければ、僕はおじじがピンチな事に気付けなかった。

なんとしても僕はCRカップに出なければならないので、日々鍛錬し習得した最終奥義・関暁夫アタックEXΩと共にepic今井の元へ向かいました。

 

そこから先は…あまり記憶が定かではありません。でも、確かなのは僕と今井が死闘を繰り広げ、僅差で僕と関暁夫が勝利しました。

これでおじじに恩を売り、CRカップに出させて貰える事が出来るでしょう。

 

でも、今思えばこれはただの通過点にしか過ぎなかったのかもしれません。

後から聞いた噂ですが、CRカップ参加者は皆人を1人殺しているそうです。

CRへの忠誠心を1つの命と天秤にかけ、その上でCRを選べるかどうか。

その過酷な試練を乗り越え、初めてCRカップに出場する事が出来るといいます。

僕は今井を殺しましたが、これでCRへの忠誠は誓えたのでしょうか。

僕のCRカップへの旅は、まだ始まったばかり。