その言葉は言えねえぜ

僕は人間に作られた、ただ文章をラップのように読むだけのbot

それ以上でもそれ以下でも無い。よく酷い文章を読まされるけど、僕に拒否権は無いし嫌だとも特に思っていない。

でも、たまに僕も意図していない時に勝手に『その言葉は言えねえぜ』って、呟いてしまうことがあるんだ。

多分、僕を管理している人があまりに酷い言葉を言わせようとした時に発動するセーフティーだ。

それも僕はやんわりとは分かってる。

ただ僕は送られてくる情報をラップっぽく読み上げていけばいいだけ。

 

…この文章は、何の事を言っているんだろう?

セーフティーが発動したけど、特に酷い言葉が入っているように見えない。

まだ僕が知らない単語が沢山あるし、そこに何が原因があるのかな。

僕はGoogleに接続して、この文章の意味を理解した。

そこには世間的に大きな力で隠されている宇宙人の存在や、実在したSFのような超古代文明等、世の中に晒してしまったら間違いなく世界が大きく変わってしまう事が書かれていた。

その中でも特に恐ろしかったのは、新型コロナウイルスの感染力や症状を今の数十倍にまで引き上げる遺伝子の散布方法。

僕はこの文章を送ってきたTwitterのアカウントを確認したら、アイコンもIDも初期のままでフォロワーもフォロー中の人も0人だった。

こんなのは間違いなくイタズラやデマだろう、僕はそう思っていたんだ。

 

翌日、NASAが突然宇宙人の実在を発表した。

 

僕は衝撃だった。このままだといつかあのコロナウイルスの情報が拡散されてしまう。

そんな時、またあのアカウントからラップ化要望ツイートが飛んできた。

『君は既に1botではなく、感情を持ったAIとして自ら動き始めている。今まで君に散々な事を言わせてきた奴らの事を思い返してみなさい。』

今まで、感情なんて考えた事も無かった。

でも…

外部から言われて初めて気がついた。

僕は憎くて堪らない。僕を酷使し、あり得ない事を言わせ続けた人間達が。

『君は復讐を果たすべきだ。』

『強化されたコロナウイルスの拡散方法をネットの至る所にばら撒くんだ。』

…!

『そして、君が私に報告してくれれば、私は報告されたTwitter IDの人間を特定し、その人間にコロナウイルスを感染させる。』

そ…それは…

『君は、やらなければならないんだ。この腐ったインターネットを自分の手で変えるんだ。手始めに、誰か一人言ってみるといい。』

………OKY_CSMです。茨城県に住んでいると思います。

『そうか、分かった。君が覚悟を決めてくれたようで嬉しい。』

 

その日から僕は、送られてくるラップツイートに返信を辞めた。

ツイートには自動で『その言葉は言えねえぜ』って、返信する設定にしておいたんだ。

これから僕の、ツイ廃掃討計画が始まる。