ま 苦しみのブログ

あんまり表には出さないよ!!

Appleを齧った正体を追え!

2376年、冬。

「いや〜、遂に我が社もここまで来ましたね。」

「えぇ。何せ今日は、記念すべきiPhone 1000の発売日なんですから。」

 

私はこのアメリカ最大規模であるApple shopの責任者だ。名乗る程の者でも無い。

我々は今日歴史に名を残す。

競合していたGoogleMicrosoftは度重なる不祥事や不景気でAppleの傘下となり、技術革新と共に自己学習するAIを搭載したiPhoneを発売する。

かの創設者スティーブ・ジョブズは我々をどう見ているのだろうか。

まぁ、そんな事はどうでもいい。もうすぐ開店だ。店の外には大勢の予約者が列を成している。

 

…ん?こんな時に連絡とは。無粋な真似をするものだな。

はい、Apple shop1号店です。

…何だって!?Apple本社が…爆発!?

現場に急行した担当者によると、Apple本社に飾り立ててあったAppleのロゴが欠けていたらしい。

見た目は派手だったようだが内部の被害は少なく、iPhone1000の発売も予定通り行われた。

しかし、私はどうにも腑に落ちない。爆発により欠けていたAppleのロゴが、以前、具体的に言えば2000〜2100年代と全く同じような形になっているのだ。

というのもAppleのロゴはGoogleMicrosoftと統合される時に、“今まで我が社に欠けていたものを埋め合わせてくれる”という意味を込めて創業当時から続いてきたかじられた跡を埋め、ただのリンゴマークにしたのだ。

それが今、何者かの手によって再び過去の形に引き戻された。

これは行動を起こした犯人の宣戦布告だ。

私はただ1ショップの責任者だが、Appleに体する信仰心は人一倍高いと自負している。

欠けていた過去に何があったのか、この手で確かめなければならない。

 

過去にAppleとイザコザを起こした相手を片っ端から調べていると、一つ気になる記事を見つけた。

もう300年前の記事でアクセスに手間取ったが、なんとか閲覧する事が出来た。

Epic Games。それがとあるゲームの販売手数料をケチったとかで莫大な損害を報告している。

しかしそのゲームが当時メチャメチャに流行っていたようで、このAppleとの件が無ければ更に大成していた可能性もある。

Appleと真っ向から対立した一番大きな企業はこの会社で最後だ。疑う材料は十分。

ここまで大規模な事が出来るという事は、今もEpic Gamesはどこかで存続していてAppleに恨みを抱え込み続けているという事になる。

 

私は調査を続けた。警察やAppleの情報を全て書き出して奴らを追った。

そして決め手となったのはiPhone1000のAIだ。

Epic Gamesの所在を正確に表示して見せた。

居ても立っても居られず、私とAppleが用意した捜査員はその場所へ向かう。

 

うわ…なんか不気味ですね…随分前から放置されてるみたいです。

ああ。300年前だからな。むしろよくこれだけ形を維持してるもんだ。

…バタバタッ!

何かが背後を走り去る音。

振り向くと、そこに捜査員の姿は無かった。

私は必死に彼の名前を叫んだが、返事は無い。

 

バタバタッ!

まただ!この音は…?

そこには…200年前の第三次世界大戦の核攻撃によって根絶やしにされたはずだったアジア系の顔つきをした人間が立っていた。

「Epicの、今井といいます。私は貴方達へ復讐を誓い、自身の体をコールドスリープさせていました。」

彼の手から血が滴っている。何が起こった理解するのは一瞬だった。

「フォートナイトは我々にとって命と同義だったのです。それを貴方達は最も簡単に踏み躙った。」

ま、待て…何を言っているか分からないな、俺は…ただ話を聞きに…

「貴方達の目的は全て把握済みです。Epic Gamesという存在をこの世から抹消しようとしている。」

…何が望みだ?こんな事をしてもフォートナイトも、過去のEpicも帰ってきたりはしないだろう!

「私は、用意周到に準備をして来ました。そして今日、その目的を果たす時なんです。」

…駄目だ、埒があかない!

 

〜事件後に開かれたメディア会見〜

私は、今井に鉄パイプで殴りかかりました。しかしそれは全て計算ずくだった。

彼は私の動きを完全に見切り、何かのスイッチを丁度私が殴りかかる地点に持ち、それを私に押させた。

それを確認し、彼はこう言ったんです。

『シーズン11の開幕だ』と。

恐らく、私が押したスイッチが起動しました。

その後は…皆さんお察しの通りです。

空から無数のキューブが降り注ぎました。

各地にあるApple支部が瞬く間に潰されていくのをEpic Gamesのモニターで見ました。

惨たらしい。思い出すだけで…

 

こうして地球上のあらゆる生物が突然変異を遂げた。人間はあらゆるものをツルハシ一本で破壊できる力を得て、しかも壊した分だけ一瞬で建築物を生成できる。

各所に散らばったキューブは力を誇示するようにApple shopがあった場所に鎮座し続けてる。

 

私が鉄パイプを振るわなくともいずれ押されていたんでしょう。私に責任は無いと思いたいですがね…

それに、今井は未だに消息不明。

どうです?私が知っている事なんて、このくらいですよ。

あの日も私は現場にいただけで、詳しい事を知っている訳じゃないんです。

どちらにせよ今井はまだ生きているでしょうね。Appleを300年もの間研究し続けた成果で打ち負かしたのです。この世界がこの先どうなって行くか、気になって死ぬ気にはなれないでしょう。

 

あ、来たようですよ。バトルバスです。

離れましょう。今回はここで開幕するようです。その辺にはもうライフルやら何やらが湧き出してる頃だと思います。生憎私には専用のB.R.U.T.E.があるので、それで逃げさせてもらいますよ。